「100冊の自己啓発書より『徒然草』を読め!」適菜収著
「つれづれなるままに、日ぐらし、硯(すずり)にむかひて……」と始まる「徒然草」。鎌倉時代後期に兼好法師によって記されたこの随筆文学の傑作に、多くの人は世をはかなんだ老人が仏教思想に基づいた、わびさびを穏やかに語っているというイメージを持っているはずだ。しかし、著者はそれは間違いで、兼好法師は「腐った世の中と戦え」と言っているのだという。
人間や宗教の本質が見えすぎるほど見えてしまった兼好法師は、自分が狂っているのか、それとも世の中が狂っているのか、自問を繰り返しながら、自分が見たものだけを語る。ゆえに徒然草は現代人の固定観念をぶち壊す過激な思想書なのだという。
そんな徒然草の印象的な警句を現代語訳とともに紹介しながら、その精神と生き方を学ぶ。
(祥伝社 946円)