「おんなの女房」蝉谷めぐ実著

公開日: 更新日:

 武家の堀田の家に生まれた志乃に縁談がきて、歌舞伎の女形である喜多村燕弥に嫁ぐことに。燕弥は家でも振り袖を着て、化粧をし、女の姿でいる。田楽を食べるときは箸で細かく刻み、口元を隠して食べるが、そのしぐさの美しさが志乃には恐ろしいほどだった。女の自分より美しい女が目の前にいるのを見て、志乃は、自分は何のためにこの家にいるのだろうと思った。部屋の隅にすえた飯があったので捨てたら、それは舞台で使うつもりだったと燕弥に怒鳴られた。

 志乃はいつ三くだり半を渡されるかびくびくしていたが、ある日、気がついた。この人は武家の娘、時姫のしぐさを学ぶために私と一緒になったと。

 芸のために日常生活も捧げる役者夫婦の葛藤を描く。

(KADOKAWA 1815円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出