「テレビの重罪」和田秀樹著
コロナ禍以降、テレビがつくり上げた正義に逆らうことができない息苦しさが社会を覆っていると著者は言う。その正義のベースにあるのは「人の命の大切さ」だが、日本のテレビは逆に多くの命を奪ってきたと指摘する。
というのも、年間3.5万人ものアルコール関連死があるにもかかわらず、先進国の中で唯一、飲酒シーンのあるCMを規制がないまま垂れ流している。またWHOや厚労省のガイドラインを守らずに自殺の方法を詳しく報道するため、真似をする人が後を絶たない。
そしてコロナでは、基本的人権が奪われている状態をテレビが旗振り役になってつくり出している。
各報道を検証しながらテレビがいかにして多くの人命や、社会の活力、人と人のつながりなどを奪ってきたかを明らかにする問題提起の書。
(宝島社 990円)