「これからの住まい」川崎直宏著
団塊世代と団塊ジュニア世代に共通する価値観は、勤勉・物欲・成長志向・競争意識の高さだ。しかし、低経済成長期を象徴するミレニアル世代(1981~95年)は資産形成意欲や上昇志向に乏しく、その価値観は安定・コミュニティー志向が強いと言われる。
こうした世代による価値観の変遷にもかかわらず、国が政策として志向する社会経済像は依然として経済成長、物理的豊かさ、拡大基調の生活・活動に根差している。そのズレが現在の社会像をネガティブなイメージにしている元凶なのではないかと著者は指摘する。
本書は、住宅政策の流れを振り返り、平成期の住宅事情を読み解きながら、アフターコロナ社会の住宅政策のために「ハウジング・スモールネス」という概念を提唱する。
(岩波書店 968円)