「吼えろ道真」澤田瞳子著
大宰府に左遷された菅原道真は、慟哭と呪詛の日々を過ごしていた。
一方で、異国の風に触れられるこの西国が意外にも気に入り、近頃では
身分を偽り、菅三道の名で博多津の唐物商の店で目利き(鑑定)の真似事までしている。
翌日に延喜への改元を控えた昌泰4(901)年7月14日、道真の話し相手を務める役人の龍野は、大宰大弐の小野葛絃から天皇の改元の詔書を事前に道真に見せるよう託される。しかし、道真はそこに記された改元理由に怒り心頭、詔書を破り捨ててしまう。
一方、葛絃の甥・葛根は、博多津で京から派遣された蔵人所の役人と出会う。聞くと、博多津から内裏に献上された唐物が何者かによってすり替えられているという。
道真が目利きとして活躍する歴史ユーモア小説。 (集英社 660円)