「占(うら」)木内昇著

公開日: 更新日:

「占(うら」)木内昇著

 桐子は、生まれ育った家で翻訳の仕事をしながら一人暮らしをしている。そんな生活に年下の伊助が紛れ込んできた。伊助は大正も末だというのに江戸っ子のようなきっぷの大工だった。

 ある日、ぼろ長屋に住む伊助に同居をもちかけたところ、突然、彼が生き別れの義妹・梅の話を始める。伊助は、口減らしのため遊里に売られた梅を探し続けていて、見つかった折には身請けして一緒に暮らすつもりだという。

 以来、会えば梅の話しかしない伊助の心が分からず、桐子は本心ではないが別れを切り出す。それっきり、伊助は姿を見せず、何とか彼の心を取り戻したい桐子は、表札に「卜(うらない)」と書かれた一軒家の格子戸をあける。

 ほか、千里眼と呼ばれるようになったカフェの女給など、占いを巡る女たちの葛藤を描く作品集。

(新潮社 781円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末