「絶滅する『墓』」鵜飼秀徳著
「絶滅する『墓』」鵜飼秀徳著
墓制史を振り返り、その滅びゆく弔いの形と日本人の死生観を記録したテキスト。
現在見つかっている、日本における最古級の墓は2万年以上前のもの。縄文時代になると、頭部を土器で覆ったり、胸部に「石抱き」をした遺体が見つかることもあり、縄文人は死後の世界への畏れをすでに持っていたという説が有力だそうだ。
そして、700(文武4)年には法相宗の祖・道昭が遺言で荼毘にふされたことをきっかけに火葬が始まる。こうした歴史を概観した上で、現在も一部の地域に残る土葬や、「遺体」と「魂」とを分けて墓を2つつくる「両墓制」、沖縄の破風墓や亀甲墓、男女別葬のアイヌ民族の葬送文化、そして変わりつつある現代の葬送まで。日本人がどのように死と向き合ってきたかを詳述。 (NHK出版 1210円)