「剛心」木内昇著
「剛心」木内昇著
明治19年、官庁集中計画に乗り出した政府は内閣直属の「臨時建設局」を発足。総裁に就いた井上馨は、ドイツ人のヘルマン・エンデに設計監理を依頼。技術を学ぶため設計助手として日本から建築家3人と大工など職人17人がドイツに派遣される。
米国留学経験がある建築家の妻木頼黄が団長に指名された。ほかの2人の建築家、渡辺と河合には、年下で無口な妻木が何を考えているか分からない。一方で妻木は職人と仕事の話をするときは別人のように饒舌だった。
数か月後、エンデが当初の計画よりも範囲を縮小して、計画の建物を日比谷練兵場内にすべて収めることにしたと言い出す。話を聞いた妻木は、エンデに異を唱える。
日本的な美しさを大切にし、赤レンガ倉庫や日本橋などを手掛けた明治の建築家の人生を描く長編。
(集英社 1155円)