濱口竜介監督が証明する健全なワークショップの必要性、監督が俳優に教えるモノとは?
さらに『ハッピーアワー』は神戸でワークショップを開いた際に出会った30代後半の女性4人を主人公にキャスティングしています。その理由は出産のタイムリミットが迫る年齢であり、若い女性と比較されたり、子育てを託されたりと男性社会において弱者だと気付いたからとのこと。
■ワークショップは必要なのか
最近、日本映画界を震撼させるセクシャルハラスメントが起こる場のひとつとして話題となってしまったワークショップ。この場所は果たして必要なのか。実際、ハラスメントが起こりやすい上下関係が生まれる場でもあり、ベテラン俳優ではなく、監督が俳優に何を教えるのだろうかと個人的には疑問を抱いていました。
しかし、濱口監督の作品づくりは明らかにワークショップからの影響が色濃く、自分が知らない感情や発想と出会い、それらを探求する為に見知らぬ人との対話を糸口に物語を紡いでいるのかもしれません。そう考えるとワークショップとは本来、演技を愛する仲間と創意工夫して作品を生み出す場なのではないでしょうか。
もし自分が俳優だったら、そんな刺激的で興味深い場所ならば、足を運びたいと思うはずです。中島歩さんの言う通り、ワークショップはクリーンで希望が生まれる場であって欲しいと強く願います。