長引く腰痛の原因…徐々に固まる「強直性脊椎炎」だった
「強直性脊椎炎」という病気をご存じか。長引く腰痛がある場合、これが原因かもしれない。東京大学医学部付属病院整形外科・脊椎外科の門野夕峰講師に聞いた。
強直性脊椎炎は、脊椎、仙腸関節、股関節などの靭帯付着部に炎症が起こり、脊椎が徐々に「強直する=固まる」病気だ。進行すると、脊椎が曲がらなくなる。特定遺伝子が関係しているという報告もあるが、はっきりした原因は分かっていない。だからこそ、ありふれた症状である腰痛から、強直性脊椎炎ならではのサインを見つけださなくてはならない。
いくつかの診断基準があるが、強直性脊椎炎に関連のある腰痛の特徴は次の通りだ。
「(1)40歳未満から痛みがある(2)徐々に痛みを感じるようになった(3)動くことで痛みがやわらぐ(4)安静にしていても改善しない(5)夜間疼痛(起きると改善)。これら5項目のうち、4項目に当てはまれば、強直性脊椎炎の可能性があります」
厄介なのは、症状の進行が非常にゆっくりであること。症状の出現から診断に至るまで、平均9年という調査結果がある。さらに、「見るからに分かる」病気でなく、知名度も低いため、病気に対する理解を得られにくい。