【早期肺がんの単孔内視鏡治療】 日本医科大学千葉北総病院・呼吸器外科(千葉・印西市)
呼吸器疾患に対するシングルポートは、欧州を中心に2004年ごろから始まり、肺の部分切除や、転移性肺がんの手術で行われてきた。肺がんの肺葉切除まで行うようになったのは2011年から。平井氏は4年前から気胸や縦隔腫瘍など他の呼吸器疾患の手術にシングルポートを用い、2012年から早期肺がんへの肺葉切除を始めた。
これまで肺がんでは65例、他疾患を含めると100例以上を手掛けた。国内最多となるシングルポートの第一人者だ。
「シングルポートを始めたのは、“真の低侵襲とは何か”と疑問を感じたからです。最も侵襲の少ないといわれている完全胸腔鏡下手術では、肋骨の間に2センチほどの3つないし4つの孔を開け、最終的に病変を含んだ肺葉を取り出す際、1つの孔の傷を約4センチに伸ばして体外に取り出すというスタイルをとっています。この術式は、一見、傷は小さくても、肋間神経障害による慢性的な胸の痛みを訴える患者さんが意外と多いことが難点です」
肺がん手術は、手術時に肋骨の下側を通る肋間神経を損傷しやすく、術後に肋間神経痛の合併症が残りやすい。