新抗がん剤が契機 進行・再発胃がんの治療戦略に変化あり
「これまでは、HER2が過剰に発現しているHER2陽性と、そうでないHER2陰性では、治療が異なりました」
HER2陽性は、1次治療で分子標的薬「トラスツズマブ」と従来の抗がん剤を使う。HER2陰性は、従来の抗がん剤だけでいく。
そして1次治療がうまくいかなければ、2次治療としてHER2陽性、陰性ともに、従来の抗がん剤が単独で投与される。具体的には、ドセタキセル、イリノテカン、パクリタキセルという抗がん剤のどれかだ。
「しかし今回のガイドラインでは、2次治療として推奨されていた『抗がん剤単独』ではなく、『抗がん剤+分子標的薬』がまず推奨されることになりました」
■ファーストチョイス薬で効果なしの患者もがんが半分に
2015年6月、分子標的薬「ラムシルマブ」が、前出の「トラスツズマブ」に続いて承認されたことがきっかけだった。胃がんでは初めての「血管新生阻害剤」で、血管新生で重要な働きをする血管内皮細胞増殖因子が受容体と結合するのを阻害し、がん細胞に栄養を行き届かなくし、がん増殖を抑制する。