女優・高樹澪さん 「片側顔面けいれん」からの回復を語る
何をやっても一向に回復せず、「全力で仕事に向かえない自分に居場所はない。ここにいないほうがいい」と、ますます自分を追い込み、44歳で一時女優を休業することにしました。
休業中に一般企業に勤めたことが転機になりました。同僚の女性が「それ、脳神経外科で手術できるわよ。ウチの親戚の男の子も頭に大きな腫瘍があったけど、有名な先生に頭を開いて腫瘍を取ってもらったら治ったわよ! それにね、頭蓋骨は痛点がないから痛くないんですって」と教えてくれたのです。「痛い」「死ぬ」といった手術のイメージも根本的に間違っていたことに気付かせてくれました。
■10年近く悩んだのに、あっけなく
その方に紹介していただいて、立川病院(当時)の清水克悦先生の診察を受けると、原因は、脳幹にある顔面をつかさどる神経と動脈が癒着していて、血のドクンドクンという流れが神経に当たり、けいれんを起こしていたことだとわかりました。そこで問題の神経と血管を剥離させ、間に緩衝材となる髄膜を入れる手術を受けることになったのです。
清水先生の「(頭蓋骨を)開けたら意外に簡単だよ」という言葉と、瞳の奥の説得力に手術を決意しました。発症から10年近く経っているし、年齢的にも早い方がいいとのことで、2週間後に行われることになりました。