体にも優しい 食道アカラシア新治療「POEM」のメリット
内視鏡で食道と胃の境目の筋層を切る方法で、「経口内視鏡的筋層切開術=POEM(ポエム)」という。
「食道アカラシアの治療は、約100年前にヘラー医師が開発した外科手術が長らく行われてきました。腹部を切開し、外側から食道と胃の境目にアプローチし、筋層を切ります。近年は腹腔鏡が用いられていますが、やはり外側からのアプローチであることに変わりありません」
一方、POEMでは、食道の「内側」から粘膜を切開して粘膜下層に入り、筋層を切る。「外側」から行う従来法と違い、体に傷がつかない。出血が少なく、感染症のリスクも低い。そして、最も着目すべき点は治療効果だ。
「POEMであれば、筋層切開の長さを簡単に自由に調整できます。短くも長くも切ることができる。これによって、たとえば60点程度の満足度しか得られなかった患者さんが、80点以上の満足度を得られるようになったのです」
■効果も従来法より上
食道アカラシアとひとくくりにしているが、実はいくつかのタイプに分かれており、それらによって「どれくらい筋層を切ればいいか」が異なる。長く切るべき患者、短くてもよい患者がいる。