体にも優しい 食道アカラシア新治療「POEM」のメリット

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 しかし、従来の外科手術では切ることができる長さは5~7センチ。POEMでは25センチの切開も可能で、長く切っても患者の負担が増えるわけではない。

「本来は25センチの切除が必要な場合も、従来法しかない時は最大7センチまでしか切れませんでした」

 すると、前述の「しないよりはまし」といった結果になりかねない。医師は患者の不満足を理解しながらも、それ以上は打つ手がなく、「治療はここまでになります」と言うしかなかった。

 今回の新治療法で、その「壁」を乗り越えられたのだから、その意義は大きい。海外でも高い評価を受けていて、外科の学会誌の中で最高ランクの「アメリカン カレッジ オブ サージャン」に昨年掲載されたという。

「加えて保険点数は従来法より低く、患者さんが負担する治療費は安い。私はPOEMによって『食道アカラシア外科治療の100年の歴史は終わった』と考えています」

 全身麻酔で行うので、4日ほど入院するが、術後2日目から食事もできる。昭和大では約1200例が実施されていて、国内外で4000例超が行われている。「過去に食道アカラシアの手術を受けたが、あまりうまくいかなかった」という患者でも、POEMの実施は可能だ。

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