X線検査はがんの原因になるのか?
「被曝が危険だから」とレントゲン検査を避ける人もいるそうですが? 東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター長の加藤智弘医師が教えてくれました。
「たしかに、X線検査はがんの原因になる可能性があります。しかし、もっと高リスクの要因がたくさんある中で、X線検査だけを気にするのはナンセンスです」
X線は放射線の一種で、胸部レントゲン検査では0・05ミリシーベルト(X線の線量単位)、CT検査では1ミリシーベルトの放射線を被曝することになります。
とはいえ、放射線は自然界にも存在し、日本人は何もしなくても年間2・4ミリシーベルト被曝しているそうです。東京からニューヨークまで飛行機で往復するだけでも、線量は0・2ミリシーベルトになります。
「その中でもCT検査は比較的高線量ですが、がん死を招く確率は、計算上では2000回のうち1例くらい。短期間に何度も受けるのは問題ですが、年1回くらいなら気にする必要はありません」
むしろ、それを気にしてX線検査を受けなければ、がんを早期発見するチャンスを逃してしまい、本末転倒。そもそも、がんの原因としては生活習慣の方がはるかに高率なのだとか。
「たとえば、たばこを1日20本吸うのは、CTを毎週1回受けるよりも発がんリスクが高い。X線検査の放射線被曝を心配するより、たばこをやめる方が先決なのです」
必要な検査はしっかり受けましょう。