【うつ病】眠れない日に子供時代の嫌な記憶を思い出した

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「“もう死んでもいいや”と、苦しむことなく自殺できる方法を、2、3回は考えました」

 こう語るのは、50歳過ぎに「うつ病」を発症し、今年の春先までの10年余、「無気力」生活をさまよった越川正則さん(仮名、62歳)だ。

 東京・板橋区在住の越川さんは、都内の有名私大の経済学部を卒業し、中堅の商社に就職。40歳の誕生日を機に脱サラし、人材派遣業の会社を起こした。足を棒にして得意先を開拓。数年を経て年収が800万円前後、3~4人の社員を雇用できるまでに成長した。

 20代で2年間の短い結婚生活を経験したが、性格の不一致で離婚。以来、独身を通して、余暇はもっぱら釣り、登山、読書、映画観賞など多趣味な中年時代を送ってきた。山登り仲間のリーダーとして、標高3000メートルの「穂高岳」に登っている一級の登山家でもある。

 責任感が強く、性格も明るい。時々、社員たちを連れてカラオケ店に繰り出し、常に一番最初にマイクを握っては、下手な歌を大声で歌っていた。


 事業の拡大に向け奔走していた最中に父親が病死。付き合っている彼女との間で結婚の話も進行していたが、「何か、眠れない日が続くようになったのです」という。

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