【うつ病】自殺決意も…思い出の写真に涙がこぼれ落ちた

公開日: 更新日:

 鉄道自殺はどうだろうか。ホームから電車に身を投げたら、鉄道会社から莫大な損害賠償が請求されるという。支払いは、群馬の実家でひとり暮らしをしている年老いた母になるだろう。母にはうつ病にかかっていることは内緒にしているし、死んでまで迷惑をかけたくない。

 越川さんは、登山のほかに釣りも趣味にしていた。帰省する時は必ず釣り竿を携帯し、実家の周辺で川釣りを楽しんでいた。

「台風の日を狙い、夜釣りの川で自殺しようかと考えました。生命保険の受取人名義を母にしてね」

 こうした自殺の方法を毎日、寝ても覚めても考えるようになった。

 やがて、自殺の場所を川と決めて決行の準備に入った。しかし、その前に持ち物を少し整理しておこうと思い立ち、残高が少ない預金通帳や健康保険証、運転免許証をまとめて机の上に置いた。

 ふと、登山や釣りの本などが乱雑に積まれた横にある本棚に目をやると、下段にアルバムが収まっている。ほこりを払ってパラパラめくると、母と2人で温泉旅行をした思い出の写真、登山仲間や釣り仲間と一緒にふざけ合っている何枚ものスナップ写真が出てきた。

 その仲間たちの真ん中で、いつも笑顔で写っている越川さんがいる。しばらく見つめていると、涙が無精ひげを伝い、床にポロポロとこぼれ落ちた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」