「病院死」と「自然死」は何が違うのか?

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「よく、“人は死ぬときは猛烈に痛いのでしょうか”と聞かれます。しかし、高齢者は若い人ほど痛みを感じないと思います。実際、あるお年寄りはグループホームの人たちの前でカラオケを歌い、着席してしばらくして亡くなりました。おそらくは心筋梗塞でしょう。若い人なら猛烈な痛みを感じるはずですが、この方は痛みを訴えることはなかったそうです」

 これは特別な例ではない。ある高齢女性が、徐々に弱体化してきたので、血液検査を行った。検査を終えてひと息ついていたところ、静かに息を引き取ったという。

「その後、亡くなった方の血液検査のデータを見たのですが、何の異常もありませんでした。採血前のバイタルサインも正常です。つまり、致命的な病気はなく、単に細胞が活動を終え、臓器が機能しなくなって亡くなる人もいるのです」

 ならば、病院で亡くなるより自宅や介護施設で死ぬ方がいいのか?

「一概には言えません。それはその人の考え方次第であり、答えはありません。国家が介入して、“こちらが正解だ”というべきものでもありません。まだ50代で子供が小さければ、家族のためにも病院で死ぬまで助かるために戦うべきでしょう。しかし、『十分生きて責任を果たした』という高齢者は、自宅や介護施設での自然死の方がいいかもしれません」

【連載】「多死社会」時代に死を学ぶ

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