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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

データが実証 高齢がん患者は「治療なし」も選択肢

公開日: 更新日:

 実際、国立がん研究センターの調査では、ステージ4の肺がんの場合、75歳未満だと抗がん剤治療を受けた方が有意に長生きでしたが、75歳以上では延命効果が認められませんでした。75歳以上の対象者は19人と少ないため、科学的に判断するには大規模調査が必要ですが、愛川さんのケースも加味すれば参考になるでしょう。

 特に前立腺がんと甲状腺がんでは、「治療なし」がモノをいいます。前立腺がんは悪性度が低いタイプが少なくなく、ガイドラインにも治療せず経過観察する「監視療法」が明記されているほど。1センチ以下の甲状腺がんも同様の考え方があります。そういう微小な甲状腺がんでリンパ節を取っても取らなくても再発率が変わらないことが分かっています。そして、「迷ったら積極的な方法をとらない」が医療の原則だと思っています。全ての治療にはマイナスの面もあるからです。

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