すい臓がん<2>「私が手術します。手術適応がないので他ではやらないでしょう」
「すい臓」は、胃の後ろ側という深部にある、長さが約20センチの細長い臓器だ。
国立がん研究センターによると、この「すい臓」に発症するがんは、年間10万人あたり約29.1人である。
難治性の高いがんの代表とされる「すい臓がん」は、手術を受けた患者でも5年生存率が、10~30%(がん研有明病院)と低い。
ITベンチャー会社の役員、池田実さん(74歳、千葉県船橋市在住)は2012年8月、68歳のときに「千葉徳洲会病院」から「すい臓がん」と告知された。
病期は、末期にあたる「ステージⅣa」まで進行していた。
「妻は担当医から、『すい臓がんの周りには、手術では切除できない難しい血管ばかりがあり、残念ですが手術はできません。もってあと2~3カ月でしょうか』と、告げられていたことを後になって知らされました」
検査の結果、「すい臓がん」は、腹腔動脈、脾動脈、脾静脈、総肝脈に絡みつきながら進行していた。
外科的にがんを切除するとき、もしこの大事な血管類を傷つけ、あるいは削除した場合に命を落とす。そのため、手術適応のボーダーラインを越えていると判断され、余命3カ月を宣告された。