ガンマナイフで生命予後の改善 転移性脳腫瘍の最新治療
転移性脳腫瘍への放射線治療は定位放射線(ガンマナイフ)のほか、脳全体に放射線を照射する「全脳照射」もある。
「脳腫瘍が4個以内、3センチ以下が定位照射、それらを超えたら全脳照射」とされているが、赤羽センター長らは「2~4個の群」と「5~10個の群」で比較試験を行ったところ、どちらも生命予後は同等だった。この結果は、世界5大医学雑誌「ランセット」の姉妹誌「ランセット・オンコロジー」に掲載された。
「全脳照射は治療期間が長く、認知機能の低下など副作用があり、一生に一度しか行えません。全脳照射しか向かない転移性脳腫瘍もあるため慎重な検討が必要ですが、小さめの脳腫瘍で10個以内であれば、ガンマナイフの実施を考えます」
NTT東日本病院では5月から、日本で数台しか使われていない最新ガンマナイフを導入。通常、治療中に頭部が動かないよう、局所麻酔下で頭蓋骨にピンを刺して固定するが、ピンを使わずマスクで固定。脳腫瘍の大きさによっては数回に分けて照射する方がベターだが、その「分割照射」も容易にできる。
なお、ガンマナイフは保険適用内。3割負担で20万円ほどで、高額療養費制度も利用できる。