ガンマナイフで生命予後の改善 転移性脳腫瘍の最新治療
赤羽センター長は、放射線治療のガンマナイフが専門。
ガンマナイフは、スウェーデンの脳神経外科医が1968年に開発したもので、開頭せずに治療できる脳内疾患専用の定位放射線治療機器だ。
“定位放射線”は、多方面からがんに集中して放射線を照射することで、正常な組織へのダメージを極力抑えられる。
「転移性脳腫瘍に対するガンマナイフの目的は2つあり、生命予後と機能予後の改善です」
一般的に、がんは大きいほど悪性度が高くなるが、脳腫瘍はそうとは限らない。
「できた場所によっては、1センチの小さな脳腫瘍でも神経症状や麻痺につながることがあります」
転移性脳腫瘍が大きかったり、数が多すぎたりして、「ガンマナイフでは転移性脳腫瘍を全て取りきれない」といったケースの場合でも、悪影響を及ぼす場所の脳腫瘍を取り除くことで、生命予後と機能予後、あるいはどちらか一方が改善されることがある。
「58歳で文筆業の女性は肺がんから転移して脳の右側に転移性脳腫瘍が。体の片側に麻痺が出て文字を書けない。ガンマナイフを行ったところ、2カ月後には麻痺が消え文筆活動を再開。QOL(生活の質)が上がったと喜んでおられました」