ハートシートは心臓移植を待つ患者さんに大きなプラス
■保険制度の改正で制限が外れた
患者さんが移植を待っている間は、補助人工心臓を植え込む「ブリッジユース(橋渡し)」が行われます。しかし、補助人工心臓はバッテリーの駆動時間や機器トラブルのリスクなどで大幅に生活が制限されるうえ、製品価格を含めてトータルで2000万円くらいの費用がかかります。そうした“不便”を強いられている患者さんにとって、ハートシートは大きな救いとなるのです。
ハートシートを使った治療はこれまでも保険適用でしたが、「心臓移植や補助人工心臓の植え込みを行える施設でなければ実施できない」という条件がありました。しかし、それでは恩恵を受けられる患者さんが少なすぎるのではないかという意見があり、今年4月の保険制度の改正を受けて、その制限が外されることになったのです。これに合わせ、当院でもすぐにハートシートを使った治療に取り掛かる予定です。
実は最近、当院も補助人工心臓の植え込みを実施できる施設として認可を受けるために、チーム編成と手続きを進めていました。補助人工心臓に携わりたいという意思を持つスタッフが多いこともありますが、「ハートシートを使った治療を実施したい」という理由もありました。今回、ハートシートを使った治療の“縛り”が外れたことで、今後は補助人工心臓チームとハートシートの治療を別々に考えて進めていくつもりです。