ハートシートは心臓移植を待つ患者さんに大きなプラス
冒頭でもお話ししましたが、ハートシートを使った治療は、主に拡張型心筋症や虚血性心筋症の患者さんが対象です。中には、ハートシートを貼り付けただけで心機能が回復して治る患者さんもいますが、完治させるには心臓移植しかありません。基本的には移植までの“つなぎ”の治療といえます。
それでも、患者さんにとっては大きなプラスになります。移植を待つために補助人工心臓を植え込む前の段階でハートシートを使った治療を行えば、大幅な生活制限を受けることなく日常生活を送りながら、移植を待つことができるようになるのです。
心臓移植は臓器を提供していただくドナーが必要で、どうしても限界があります。移植を希望する患者さんも年々増加していて、日本臓器移植ネットワークに登録している心臓移植の待機者は、97年は8人でしたが、18年2月には665人まで増えています。登録したものの移植を受けられず、待機中に亡くなる患者さんも増えているのが現状です。
ハートシートは、今後も増えるのは間違いない移植を待つ患者さんにとって、大きな福音になるでしょう。