過去のトラウマが原因で病気に…WHOも推奨の治療法とは?
「父親に激しく暴力を振るわれた」「母親から“おまえなんてうちの子じゃない”と罵られ、それ以後、無視された」「学校でいじめに遭った」「先生に性的関係を強いられた」――。過去の理不尽な記憶が心の傷(トラウマ)となり、それが原因で病気になったり、性格や行動が変わってしまったりする。トラウマによって起こるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療は困難だが、WHO(世界保健機関)が推奨する治療法がある。EMDR療法はそのひとつだ。どんなものか? 「こころとからだ・光の花クリニック」(東京・阿佐谷)の白川美也子院長に聞いた。
「PTSDのある人は、トラウマ記憶という特殊な記憶ネットワークを抱えています。その体験を思い出すと、通常なら起きる適切な記憶の情報処理が滞り、心身に異常が起きるのです。その対処法としてエビデンスが認められている治療法が、『トラウマ焦点化認知行動療法』と『EMDR療法』です」
前者の代表、持続エクスポージャー療法(PE)は、トラウマになっている出来事や感情を繰り返し話してもらい、セラピストが傾聴することで慣れが起きて、つらく悲しい出来事は過去のものであること、それに対処することができることを明確に認識できるようになる方法だ。