「がん細胞があるかどうか」を確認する検査は最も重要
Pさんはとても心配になり、手術するかどうか悩みました。そこで担当医は、病理医と相談して他のがん専門病院の病理医にその標本を送って意見を聞くことにしました。その結果、数人の病理医の意見がクラスⅡだったことから、定期的に検査をして経過を見ることになりました。幸いPさんはその後、分泌の症状はなくなり、問題なく過ごしています。
以前ある病院で細胞診がクラスⅣの判定で乳がんと診断された患者が手術を受けたものの切除した乳腺にはがんが見つからず、がんではなかったのに乳腺を切除されたという悲劇がありました。細胞診を過信してはいけないということです。
とはいえ、細胞診が大切な検査であることは間違いありません。尿の細胞診では、腎がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がんなどの診断に役立ちます。尿の中にがん細胞が剥がれて混じってくるのです。また、喀痰にがん細胞が混じってくる場合があります。肺結核、肺胞出血などで血痰となる場合もありますが、肺がんを疑って細胞診を行います。
胸水、腹水があって、その中にがん細胞があれば、がん性胸膜炎、がん性腹膜炎の診断となります。この場合、もともとは肺がんでも、胃がん、膵臓がんでも、病期はステージⅣとなり、手術不能と判断されます。
「がん細胞があるかどうか」はとても重要な検査です。だからこそ、診断に関わる技師には、細胞検査士、細胞診専門医の厳しい資格認定の制度があります。