著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

平均血圧の目安が「年齢+100」ではなくなった本当の理由

公開日: 更新日:

 血圧が高いといわれた患者さんから、「若い時は低いほうだったのにどうして今頃になって高血圧になってしまったのか」と質問されることがよくあります。これにはさまざまな要因がありますが、おおざっぱに説明すれば、血圧を上げる最大の因子のひとつが年齢だからです。

 かつては年齢+100が平均といわれたことがありますが、現在の国民栄養調査ではどうでしょう。男性の20歳代の上の血圧の平均が120.4㎜Hgですから年齢+100です。それに対して、50歳代で134.7㎜Hg、60歳代では137.6㎜Hg、70歳以上でも138.5㎜Hgと、年齢とともに上昇傾向にはありますが、年齢+100よりかなり低くなっています。これは年齢に従っての血圧の上昇が以前よりだんだん小さくなっているということでしょうか。

 それも一部は正しいかもしれませんが、それだけではありません。この背景には高血圧の治療の普及が大きく関係しています。20歳代で高血圧の薬を飲んでいる割合は1.9%にすぎませんが、50歳代で17.8%、60歳代で33.9%、70歳以上では53.8%が血圧の薬を飲んでいます。つまり、多くの人が血圧の薬を飲んで血圧を下げているために、年齢に伴う血圧の上昇が過小評価されているのです。

 国民栄養調査の年齢ごとの血圧の平均値を見ると、自分の血圧よりかなり低いと感じるかもしれません。しかし、それは血圧の薬を飲んでいる人が多いためで、実際の平均値はもっと高いのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース