のどだけじゃない…お餅による消化管の閉塞・穿孔に要注意
また、85歳の男性は昼食に出された雑煮の餅をよく噛まずに食べたところ、みぞおちに痛みが。「小腸イレウス」と診断され、治療で無事餅は体内から消えたが、その後の検査で胃潰瘍が見つかった。ピロリ菌の感染の疑いが否定され、非ステロイド性抗炎症薬の使用歴もなかったことから餅が原因と判断され、さらなる治療を行い、無事退院したという。
論文では餅による消化管障害は50~60代が多く、2対1で男性に多いと報告されている。餅を食べてから症状が表れるまで数時間から1日が多く、遅くとも4日以内に表れたという。手術で消化管から摘出した餅のなかには3カ月以上消化されずに腸管内に硬くなって残っていて、穿孔を起こした症例も報告されている。
それにしても餅は胃や大腸でなく小腸で詰まることが多いのはなぜか?
「胃の出口で、十二指腸(小腸)につながる幽門部を通過できるのは、通常2センチ以下と言われています。しかし、小腸で問題を起こした餅はいずれも2センチ以上だったようです。恐らくは温度が高く形を変えやすい状態の餅なら通過できるのでしょう。ただ、小腸ではお餅の温度が下がり、腸管壁にくっつき、硬くなったために小腸イレウスが発症したと考えられています」