難治性うつ病・そううつ病の新治療 注目「rTMS療法」とは
うつ病評価スコアで5割以上改善する奏功率は50~60%。保険適用となることが示しているように、画期的な治療として期待が高まっている。
一方、双極性障害は今年3月、鬼頭医師が2017年まで在籍していた国立精神・神経医療研究センター、慈恵会医大付属病院、慶応義塾大学病院、京都府立医科大学付属病院の共同で先進医療の実施が決まった。
本格的始動は6月ごろ。対象は、「既存のそううつ病の治療を受けても十分な効果が見られない」をはじめ、いくつかの項目に該当する患者だ。
「うつ病に効くのだから双極性障害にも効くだろうという考えが経験上ありました。ところがうつ病と双極性障害の患者をまとめて有効性を調べた研究はあるものの、双極性障害だけに限ったものはありませんでした」
そこで鬼頭医師は15年、薬が効かずうつ状態が続く双極性障害4人にrTMS療法を週5日、4週間行った。3人は4週間の間にうつ病評価スコアが劇的に改善し、1人は効果がなかった。
効果があった3人のうち2人は、rTMS療法を終えた後も効果が持続。半年後も有効性が確認された。効果がなかった人も含め、rTMS療法でそう状態になる人は皆無。これらの結果を鬼頭医師は論文にまとめ、今回の先進医療スタートへつながった。