男性不妊の一因に…パンツの中の"猛暑”は体に何を起こす?
人間の体の中で最も皮膚が薄いのは男性の陰嚢を包む皮膚だ。精子を製造する睾丸(精巣)は温度に弱いため、熱がこもらないように薄い皮膚に包まれているのだ。その意味で、猛暑で最もダメージを受けるのは、熱がこもりやすい男性のパンツの中のデリケートゾーンかもしれない。「パンツの中の猛暑」は何をもたらすのか? 「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。
精子の能力は、精子量や濃度、運動能力などで示されるが、夏に高く、秋口に下がることが知られている。
「精子は2カ月半かけてつくられるので、8月の猛暑の影響は秋口以降に表れるからです。一般に陰嚢内はお腹の中より3度程度、温度が低く、精巣はその低い温度のもとで精子をつくります。逆に言えば、温度が高くなる環境だと精子をつくる力が低下するのです」
男性不妊の原因のひとつに「精索静脈瘤」がある。陰嚢内にある静脈が拡張することで血液がうっ滞する。精巣が体温と同じ血液の温度で温められるため精子ができにくいとされている。
暑くなると陰嚢が垂れ下がるのは、体温が高くなったお腹から離れて、陰嚢の表面積を広げて、汗による放熱で精巣を冷やすためだ。その意味では、夏に熱がこもりやすいブリーフやビキニをはくのは考えものだ。