がんを根絶できなくても「治療法がある」という事実は大切
道中のNさんはふらふらしてしまって、娘さんに支えられながら家に着きました。娘さんは「私の家で一緒に暮らそう」と言ってくれます。Nさんは「それも仕方ないかな」と思いながらも、その時は返事をしないでいました。
その後も出血が続き、下肢がとても重く感じて、3日後には娘さんの車でB病院に行きました。病院に着くとやはりふらついたので、玄関で車イスに乗って婦人科の外来を訪ねます。すると、婦人科の担当医から「出血を止めたいですね。無理だとは思いますが、もう一度、放射線科で治療できないか相談してみましょう」と提案があり、放射線科に連絡を入れてくれました。そして、「追加照射はあと7回なら出来ますよ。きっと止血すると思います」との回答があったのです。
その言葉だけで、Nさんは急に足が軽くなった気がしました。もう治療法はないと諦めかけていたのが、「まだ治療できる」「止血できる」というのです。
すぐにCT検査が行われ、放射線を当てる部位のシミュレーション(治療範囲の計画)をしてくれて、その日のうちに1回目の治療が開始されました。