不潔な入れ歯で発症リスク6割増 肺炎をこじらせる生活習慣
俳優の依田英助さん(享年91)の命を奪ったのは、肺炎だった。
厚労省の「人口動態統計」(2017年)によると、誤嚥性肺炎を含む肺炎による死亡数は、約13万3000人。がん、心臓病につぐ死因の3位だ。気温が低下し、風邪やインフルエンザをこじらせ、肺炎を起こしやすいシーズンだけに要注意だろう。
そんな中、東北大の研究グループが、興味深い研究結果を発表した。65歳以上を対象に入れ歯の手入れの有無で、肺炎発症リスクがどう変わるかを調べたもの。毎日手入れをしないグループは、手入れをするグループに比べて発症リスクが3割高く、75歳以上に限ると6割増に上昇したというのだ。
東京医大名誉教授の加藤治文氏が言う。
「入れ歯のクリーニングが不十分だと、細菌が増殖します。高齢者は、飲み込む力が衰えていることがあり、細菌が食道ではなく、気管に流れ落ちると、肺炎を起こしやすいのです」
入れ歯の人は、硬い食べ物を嫌って軟らかい食事を好む傾向がある。そんな食事を長く続けていると、知らず知らずのうちに口の機能が低下し、ひいては嚥下力もダウンする悪循環に。入れ歯の不潔だけでなく、入れ歯による食事習慣の悪化も肺炎リスクを高めるという。