眠気、せん妄、失神…意識障害を起こす持病の薬はこれだ
複数受診しても「お薬手帳」は一冊に
〈表〉は、厚労省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」で高齢者への注意喚起が記された薬のうち、意識障害を起こす恐れがあるものを抜粋した。リスクの高い薬があらゆる診療科にまたがっていることが分かる。
「薬を処方する医師は、自分の専門分野の薬については熟知していても、それ以外の領域については疎いことがあります。それで薬効成分の重複や相互作用が見過ごされると、意識障害を起こすリスクが高まるのです。しかも診察室では、医師から副作用の説明がなされるとは限りません。そんな危険性を少なくするには、お薬手帳は1冊ですべてのかかりつけ医をカバーすること。そうすれば、薬剤師に重複リスクを気づいてもらえます」(堀氏)
冒頭の裁判で国井恒志裁判長が「無罪とする」と車いすの被告に告げると、傍聴席は静まり返った。判決理由が読み上げられた後、傍聴席から「人を殺して無罪なのか」と大声が上がったという。
「静かに願います」と怒号を制した裁判長は、「事故が起きたのは事実。ただ、被告個人の責任であるというのは真相ではない。同じ悲劇を繰り返さないための無罪判決です」と結んでいる。女子高生の死をムダにしないためにも、せめて受診の際は、お薬手帳を持ち歩くことだ。
〈自動車事故の流れ〉
男性は18年1月9日の早朝、乗用車を運転中に血圧が急低下。意識障害に陥り、対向車線の路側帯を自転車で走っていた女子高生2人をはねた。うち1人は死亡し、もう1人は脳挫傷などの大けがを負っている。
国井恒志裁判長は、被告に低血圧やめまいの症状があったことを認めながらも、医師から薬の服用で低血圧などの副作用が起こることを説明された証拠がなく、「意識障害が生じることを予見することはできなかった」と結論づけている。