コロナで嗅覚障害が…中高年は匂いを失うとどうなるのか?
嗅覚障害が生じる原因のひとつは病気だ。例えば風邪や慢性副鼻腔炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、嗅神経の障害、においに関係する大脳の部位が障害される脳挫傷、あるいは脳卒中や脳腫瘍などだ。
加齢によるものもある。
「この場合、嗅覚障害というよりも嗅覚低下と呼ぶほうが正しいかもしれません。嗅覚の低下は、一般に男性では60歳代から、女性では70歳代から目立つようになるのですが、少しずつ低下していきますので、ほとんどの方は自分の嗅覚が低下していることに気付いていません。そういう人が新型コロナに感染しても嗅覚異常に気付きにくいし、感染したことに気づかないかもしれません。さらに感染で嗅上皮細胞がはがれた場合、若い人と同じペースで再生できる保証もないのです」
■認知症の発見が遅れる可能性
嗅覚障害が生じると腐っている食べ物を口にしたり、煙のにおいに気づかず服をこがしたり、ガス漏れに気付かなくなったりすることが報告されている。
「においがわからないと味を感じにくくなるため、食事がおいしくなくなって食欲が減退。栄養不足から免疫低下や体力低下に陥ることがあります。あるいは刺激を求めて、以前より濃い味付けのものを好むようになり、塩分や糖分のとり過ぎで高血圧や糖尿病につながることもあります」