著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

正常値で心臓病がない人も薬で血圧を下げると健康メリットあり

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 一方、血圧が正常で、心筋梗塞脳卒中を起こしたことがない人は、どうか? 英国のオックスフォード大学の研究者らが1972~2013年に発表された降圧薬治療に関する主要ランダム化試験のメタ解析を実施。発表したのは「正常血圧や正常高値血圧で、心血管疾患を起こしたことがない『降圧薬治療が考慮されない血圧レベルの患者』でも、降圧薬で血圧を下げるとMACEの初発・再発予防に効果的」という内容です。

 MACEとは、心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、脳卒中、その他の入院を要する心血管疾患のこと。解析によれば、正常血圧の人でも、収縮期血圧が5㎜Hg低下すると、MACEリスクが10%低下するとのこと。

 血圧をどこまで下げるかについては、はっきりと決着がついたわけではなく、今後も研究結果が発表されていくことでしょう。個人的には、現在心血管疾患がなくても、家族に心血管疾患の人がいる場合は、血圧をガイドラインのレベルにまでは下げておくべきと考えます。特に30~50代では、「血圧がやや高い」レベルでも油断は禁物。もちろんすぐに薬を使用とはなりませんが、日本人は塩分を比較的多く摂取するので、脳卒中が心血管疾患の中で割合が多いです。しっかりと塩分管理、体重管理をすべきです。

 血圧は高くても自覚症状がないため、1年前の健診で「やや高い」だったのが、実は「とても高い」と変化している可能性もあります。

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