「医療安全」に対する認識不足が医療事故につながる
インシデントは3段階の基準があり、レベル0「間違ったことが実施される前に気づいた」、レベル1「間違ったことが実施されたが、患者には変化がなかった」、レベル2「事故により患者に変化が生じ、一時的な観察が必要となったり、安全確認のための検査が必要となったが、治療の必要がなかった」とされています。
アクシデントは、レベル3a「事故のため一時的な治療が必要となった」、3b「事故のため継続的な治療が必要となった」、レベル4a「事故により長期にわたり治療が続く(機能障害の可能性はない)」、4b「事故による障害が永続的に残った」、レベル5「事故が死因になった」という基準になっています。
今回の医療事故は、レベル3とレベル4の中間くらいに位置していると考えられます。さらに、患者さん自身の特質や背景などに事情がある可能性も考慮すると、病院側が医療事故だと認めて謝罪したうえ賠償を発表したのは、やや過剰な反応だったとみることもできます。また、執刀医の技術や経験が少なくとも病院内では任せられるレベルにあると情報共有されていたかどうかも重要なポイントで、されていなかったとしたら病院側の管理不十分を問われても仕方ないことになります。