感染拡大が懸念されるデルタ変異株に対するワクチンの効果は?
新型コロナウイルスの感染拡大は現在も続いていて、特にインドにおいて感染者急増の原因となったデルタ変異株に注目が集まっています。デルタ変異株は他のウイルス株よりも重症化のリスクが高く、また感染力も強いことが知られています。
しかし、すでに実用化されている新型コロナウイルスワクチンは、デルタ変異株を想定して開発されたものではないため、感染予防効果の減弱が懸念されていました。そんな中、世界的にも有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、デルタ変異株に対するワクチンの有効性を検討した研究論文が2021年7月21日付で掲載されました。
この研究では、英国において新型コロナウイルスに感染した集団と、感染していない集団のデータから、ワクチンの接種状況を比較し、その有効率を推定しています。なお、本研究ではデルタ変異株だけでなく、英国で感染が拡大したアルファ変異株についても解析を行っています。
その結果、ファイザー/ビオンテック社製ワクチンのアルファ変異株に対する効果は、1回接種で47・5%、2回接種で93・7%、デルタ変異株に対する効果は1回接種で35・6%、2回接種で88・0%でした。また、アストラゼネカ社製ワクチンのアルファ変異株に対する効果は1回接種で48・7%、2回接種で74・5%、デルタ変異株に対する効果は1回接種で30・0%、2回接種で67・0%でした。
当初、ファイザー/ビオンテック社製ワクチンの有効率は95%と報告されていましたから、少なからず効果が減弱することは否めません。ただ、その効果の減弱は決して大きなものではなく、ワクチンを2回接種すればデルタ変異株に対しても十分な感染予防効果が期待できるように思います。