新型コロナの治療に「抗生剤」をもっと活用してはどうか
「共著者であるウィ教授は寄生虫病学分野で著名な研究者です。新型コロナの治療とクラリスロマイシンに関する論文を依頼され、共著として発表しました。クラリスロマイシンには、抗菌作用だけでなく、ほかにも多岐にわたる免疫調節や抑制作用があります。一昨年も、クラリスロマイシンが新型コロナに対しても有効である可能性について追加記載した論文を英国の専門誌に投稿したのですが、今回はさらに理論的な説明を加えたものになります」
竹森氏によれば、クラリスロマイシンをはじめとするマクロライド系抗生剤には、新型コロナウイルスに対しても以下のような作用が期待できるという。
①新型コロナウイルスが増殖するためには、感染した細胞の中で、自身の遺伝情報を持つタンパク質を合成する必要がある。遺伝情報の読み取りは細胞内にある“翻訳装置”のリボソームによって行われるが、クラリスロマイシンはそのリボソームに作用して、ウイルスの増殖を阻害する。
②新型コロナ肺炎の重症化を促進させるIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインの放出を抑制し、過剰な免疫反応で生じるサイトカインストームを防ぐ。