世界初の肺がん治療薬が日本で承認 これで治療はどう変わるのか?
それによって不良だった進行・再発非小細胞肺がんの予後が改善。複数剤の薬が開発されている遺伝子変異がんでは、生存期間を延ばせるようになってきた。
「一方、KRAS遺伝子変異は古くから確認され、非小細胞肺がんの腺がんの中でも日本人で約10%、欧米人(主に白人)で32%を占め、欧米人では最も多い遺伝子変異であるにもかかわらず、薬の開発が難しく、有効な手だてがありませんでした」
過去40年近く「undruggable(薬にすることができない)」といわれてきたのが、KRAS遺伝子変異の肺がんなのだ。肺がんはそもそも死亡数が男性では1位、女性では2位と、相対的に5年生存率が低い。その肺がんの中でも、KRAS遺伝子変異は特に予後が悪かった。
「治療としては、免疫チェックポイント阻害剤単剤か、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法が行われますが、KRAS遺伝子変異の中でもKRAS G12C遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者では、初回の治療で効果が得られなくなり、次の治療に進んでも、無増悪生存期間(がんが縮小したり安定した状態の期間)の中央値が3~4カ月。そういった治療の選択肢しかありませんでした」