ワクチンと人工妊娠中絶をめぐり、米国で保守とリベラルが激しく分断
中間選挙を半年後に控えたアメリカでは、「人工妊娠中絶」と「コロナワクチン」という、一見まったく関係がなさそうな2つの医療問題をめぐり、保守とリベラルの分断が激しくなっています。
アメリカでは1973年、最高裁が人工妊娠中絶を基本的な女性の人権として認めて以降、リベラル寄り民主党は賛成、保守寄り共和党は反対とはっきり分かれています。21世紀に入ってから薄れつつあったその分断を復活させたのがトランプ元大統領で、公約に人工妊娠中絶の非合法化を掲げ、女性への罰則も示唆するなどしてキリスト教福音派を筆頭に中絶反対派の保守層に強くアピールしました。
一方ここ数年、保守州では人工妊娠中絶非合法化の動きが急速に進み、今年中にそのひとつが最高裁で審査されることになっています。トランプ前大統領による3人の保守判事指名で、最高裁は史上まれに見る保守寄りの状況ですから、非合法を認める判決が出る可能性も大いにあり、中間選挙に向けて保守派の鼻息は荒くなっています。
もうひとつがコロナワクチンの可否。やはりトランプ前大統領の影響ですが、アメリカでは反ワクチン派や反マスク派、ここから派生した陰謀論者も保守派が支配的で、これは中絶反対派のグループとも重なってきます。