28カ国で同時多発的な感染を確認…「サル痘」世界的流行への違和感
いまの時代に生物テロなんて、と思いがちだが、厚労省研究班が作成する「バイオテロ対応ホームページ」には、バイオテロ関連疾患として天然痘と並び、その仲間であるサル痘も掲載されている。
「このホームページ(以下HP)は医療機関向けにバイオテロ関連疾患の臨床診断や検査方法の情報を提供するためのものとして2008年に整備され、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京五輪などを控えている2016年に一般公開されています。なぜ、撲滅したはずの天然痘がバイオテロ関連疾患とされているかといえば、天然痘ウイルスをすべて廃棄せずに、米国やロシアが保有しているからです。万一にもそれが流出すれば大変なことになります。そのため、天然痘ウイルスを持っていない国の中には、発症すれば似た症状があるサル痘ウイルスを研究しているところがあります。だからこそ、天然痘同様にサル痘も懸念しているのだと思います」(前出の研究者)
ちなみに同HPには「バイオテロが疑われる状況と対応─天然痘」として、「季節外れのインフルエンザ様症状の流行、天然痘ワクチン接種歴のない若年層を中心に罹患、2~4病日頃、一時解熱傾向となると同時に発疹が出現」「天然痘を鑑別診断に入れ、原則的にワクチン接種歴のある医療従事者が確実な感染防御策のもとに患者を個室隔離して対応する」などが記載されている。