世界で急増中の「サル痘」はどんな病気? 日本で初めて感染者確認、WHOは緊急事態宣言
「もともとの流行地でのアフリカでは過去にもサル痘の流行は起こってきましたが、今回の流行のような患者数、地理的な広がりは予想していませんでした」
こう話すのは、国立感染症研究所(感染研)で長年ウイルス研究に従事し、現在は札幌市保健福祉局保健所医療政策担当部長を務める西條政幸氏(感染研名誉所員)。
サル痘の人から人への主な感染ルートは、患者の体液や患部との接触。WHOは「サル痘は誰でも感染の可能性があるが、今回の感染拡大のひとつの特徴として、同性との性行為を行う男性(MSM)、とりわけ複数のパートナーと性的関係にある男性に感染が集中している」と述べている。
■咳やくしゃみで簡単には感染しない
サル痘の症状は、感染初期は発熱、全身倦怠感、頭痛などで、徐々に体表面に水疱性の病変や発疹が現れる。
西條氏が言う。
「サル痘は、コロナのように咳やくしゃみなどで簡単に感染するものではありません。症状がない段階で感染することもない。症状がある感染者と比較的濃厚な接触をしない限り感染しないのです。ただ、サル痘は大きく分けてコンゴ盆地系統群と西アフリカ系統群があり、後者は相対的に軽症のため、症状に気づかないうちに人に感染させている可能性があります。もしかしたら、今回の感染拡大は、それが関係しているのかもしれません」