「霊水」ががんに効くとは思えないが…担当医に相談してほしい
水以外でも、がんの民間療法といわれるものはいろいろあります。体の害にならないもの、治療に影響のないもの、高額ではないものなどでは、患者の心の安らぎになっているかもしれません。ですから「効くとは思えないよ」とは言っても、やめるようにとは言わないこともあります。
それでも、体の害になる可能性がある、いまの治療法に影響する、そして悪徳商法の雰囲気を感じる時は、すぐやめるように話します。ある民間療法で、副作用と思われる有害事象を認めたので厚労省に報告したこともありました。いずれにしても、患者は担当医には内緒にしないで、「×××を飲んだらどうかと勧められています。どうでしょうか?」といった感じで相談してほしいと思います。
テレビやネットばかりではなく、良しあしにかかわらず、さまざまな情報があふれる時代です。以前、自分の尿を飲む療法やがんを消す食事など常識では考えられない治療法を行っている方に出会ってビックリしたこともありました。人の心は科学では説明できないことが多くあります。医学は科学ですが、医療現場では科学では説明ができないことがたくさんあるのだと思います。
特にがんの終末期においては、医師も「もう治療法がないのだから、好きなようにしたらどうですか?」ではなくて、一緒に生きることを考える。そうあってほしいと願います。