「そのうち治る」と思っていたら、どんどん痛くなり眠れなくなった
コロナ禍で巣ごもり生活やテレワークが普及し、日常的な活動量がすっかり減少。その影響で、腰痛、首や肩の痛み、肘の痛みといった運動器疾患を訴える中高年が増えています。そんな方がどう過ごしているうちに症状が強くなったのか、いろいろお伝えしたいと思います。
50代の女性が、肩の痛みがお悩みで来院されました。
「半年前から左肩の痛みが出てきていましたが、そのうち治るかと思って、ずっと放置していました。周りでも五十肩ってなかなか治らないんだからね、1年かかったからといわれたんですよ。まあ気長に付き合っていくかと思っていました。でもどんどん痛くなるんですよ。夜中、特に痛みが強くなって、全然眠れなくてつらくて」
このような方はたくさんいます。ここで厄介なのは、一般の方々がよく口にする「五十肩はそのうち治るから」。過去の研究では、約半数程度は2年経っても症状が残ったとされています。
そのうち治る──。これは人が持つ自分本位の考えではないでしょうか。
人は、痛みが強くなるまでは「そのうち治る」と楽観するのは仕方ないと思います。さらに人はもともと運動が嫌いな遺伝子が組み込まれています。それゆえによほど自分を律しない限り、肩の痛みが生じてくると運動をますますしなくなります。「痛み↓運動しなくなる↓肩以外のところも筋肉が硬くなる↓再び肩の動きなどに悪影響を及ぼす」という、負の連鎖が起こるのです。