がん遺族会から届いた冊子を読んでいたら心が温かくなった
1年に1回、病院で亡くなり、解剖させていただいた方の家族に集まってもらい、追悼の会を行いました。この会に出席された遺族の方々は、久しぶりに担当医や看護師に会い、当時を思い出し、多くは涙されました。
出会いと別れを繰り返すのが人生、そうは言っても、家族との別れはとても悲しいことです。「グリーフ(深い悲しみ)ケア」が大切といわれるようになって、今はグリーフケアの研修や講習を行っている施設もあるようです。
ある患者さんの遺族(奥さん)から、こんな手紙をいただいたことがありました。
「主人が亡くなって100日が過ぎました。たったひとりになってしまいましたが、なんだか温かい気持ちで生きています。ありがとうございました」
この手紙にむしろ私が勇気づけられ、「次にまた、終末期となったがん患者さんのお世話が出来る。一生懸命に診療にあたることが出来る」と思いました。
私自身も、両親をあの世に送り、お墓に行って「見守っていてください」とお参りします。また、家の小さな仏壇の前では、新しいご飯をあげ、ろうそくと線香をともします。仏壇の奥には父母がいて、祖父母が、生まれて間もなく死んだ兄もいます。
青空の会のつどいの冊子を読んでいると、なぜか心が温かくなってきます。この会では、冊子の発行だけではなく、ハイキングなどいろいろ企画されておられます。終末期医療、人の死は科学よりももっともっと広いものだと心底から思います。