著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

迷うようなことはだいたいどっちでもいい…考え続けることが重要

公開日: 更新日:

 どうしたらよいか迷うようなことは、だいたいどちらでもいいというのが、私自身のこれまでの経験から言えることだ。さらに言えば、こっちでないと困ると判断したことも、振り返ってみればどっちでもいいということがほとんどだった。大学入試の時、なんとしても合格する、合格するために一生懸命勉強する、という判断をしたが、今から思えば、もっと適当に勉強して、行ける大学へ行って、適当にすればよかったという気持ちもある。そもそも大学に行かなくてもよかったかもしれないと思わないでもない。

 ただそんなことを書くと、医者になったからそういうことが言えるのだと言われそうだ。確かにそういう面はある。しかしその医者にしたって、私が医学部に入学した40年以上前は、まったくひどいものだった。大学病院の研修医には給料すら払われず、無給の医局員というのが大勢いた。さらに無給どころか、大学院の授業料を払って、病院の仕事をしている人も珍しくなかった。

■判断や行動で思考を縛ってはいけない

 私自身はそれなりの給与をもらって研修していたが、それでも、月の時間外労働が200時間ということもあった。支給される時間外は40時間までだったと記憶している。まるで眠れない当直の翌日もいつものように働いた。下手をするとそのまま次の日の夜まで働き続けるということもあった。それでも何とかやってこられたのは、「医師になることが重要だ」という判断をせずに、なんとなく医師になったからという気もする。よくよく考えた末の判断で医者になっていたとすれば、その期待と現実のギャップに押しつぶされていたかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭