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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

「つらい。もう、逝かせてくれ」坂本龍一さんの闘病生活が伝える教訓

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 ②の5大がんは、国際的にがん検診が行われています。坂本さんが拠点にしていた米国では、50~64歳は大腸がん対策として10年に1度、無料で大腸内視鏡検査を受けられます。米国はこの内視鏡検査を普及させたことで大腸がんの死亡数が激減。今や日本の死亡数を下回っています。人口は日本が米国の4割以下ですから、米国の予防医学の勝利でしょう。

 坂本さんの直腸がんは診断時にステージ4。ひょっとすると、内視鏡検査を受けていなかったのかもしれません。

 大腸がんは、多くが腺腫と呼ばれるポリープから発生します。内視鏡検査は、ポリープが悪さをしないうちに除去できるのがメリットです。腺腫がなければ、大腸がんのリスクは低く、便潜血検査でよいでしょう。ですから、私は毎年の便潜血検査を受けながら、3年に1回、内視鏡検査を受けています。

 がん専門医の私も、③のがんで命を落とすのは仕方ありません。運が悪かったとあきらめるしかない。しかし、②のがんで死ぬのは、ご免だからこそ、②の5大がんについては検診を必ず受けています。

 大腸がんの5年生存率はステージ4が2割程度ですが、ステージ1は9割を超えますから。偉才の死をムダにしないためにも、ぜひこのことを肝に銘じてください。坂本さんのご冥福をお祈りします。

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