寒い冬に指が白く変色したら「レイノー現象」を疑う
■寒冷刺激を避ける
ある50代の女性は、レイノー現象の症状ですずひろクリニックを受診。二次性レイノー症候群の原因で最も多い強皮症と鑑別するために触診を行うと、皮膚の硬化は見られない。一見すると一次性と考えられたが、血液検査を行うと「抗セントロメア抗体」が陽性で、皮膚硬化が手指だけに見られる限局皮膚硬化型全身性強皮症の予備群と診断された。
「レイノー現象を誘発させないよう、寒い時季には使い捨てカイロの使用や手袋を着用して寒冷刺激を避け、血管を収縮させる喫煙は控えてください」
特に家の中で冷えやすい脱衣所やトイレに温風ヒーターを設置するのも有効だ。可能であればマットレスの下にホットカーペットを敷き、就寝時も冷やさないよう意識することが大切だという。
場合によっては、カルシウム拮抗薬などの血管拡張薬の服用や、二次性と診断された場合には原因疾患に対する治療が必要になる。
「気を付けたいのが治療しても症状の改善が見られない方です。強皮症で8年以上レイノー現象の罹患期間がある場合には、肺高血圧のリスクが高くなると報告されています。肺高血圧症は初期の段階では自覚症状がなく、気付いた時には右心不全になるなど予後の良くない病気です。強皮症でレイノー現象が長引く場合には、年に一度、肺高血圧のスクリーニング検査も受けてください」