著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

バイアグラで認知症を予防できる? リスクが30~54%低減との研究報告が

公開日: 更新日:

「シルデナフィル(バイアグラ)」は、男性の性的機能の治療薬ですが、それ以外にも多くの健康効果があるのではないかと、研究が進められています。

 この薬は血管に働く酵素の阻害剤で、性器の血流を増加させる作用を持っていますが、この酵素は体の別の場所でも働いているので、血管の状態や血流を全身的に改善する効果が期待できるのです。

 実際に肺の血管の病気に対しても、使用されて効果を上げています。また、まだ研究段階ですが、糖尿病の全身症状の改善にも効果があるのではないかと報告されています。さらに最近注目されているのが認知症に対する予防効果です。

 今年の認知症の専門誌に掲載された研究によると、バイアグラを使用している人は、他の心臓病などの薬を使用している人と比較して、認知症の代表であるアルツハイマー病になるリスクが、30~54%低下していることが分かりました。この薬は、認知症の原因の1つであるタウタンパクのリン酸化を抑えるような働きがあるという研究結果があり、認知症の予防に有効な可能性があるのです。

 バイアグラは視力低下や不整脈といったリスクの報告もある薬ですから、現時点で安易に予防目的に使用することはおすすめできません。しかし、今後その安全性や有効性が検証されれば、認知症予防の救世主になる可能性もあるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…